金正垠
山形に来る前にインターネットで「山形」を検索した時、一番多く出てきた情報が蔵王だった。ほとんどが蔵王スキー場の情報で、蔵王と言ったら私にはスキー場のイメージだった。しかし、蔵王のシンボルは「お釜」だろう。お釜は蔵王の頂上にある噴火口の湖で、周りが約1.5km、最大水深25mで非常に大きい規模だ。湖の色も太陽によって何回も変わることから、「五色沼」というあだ名が付けられたそうだ。
お釜のエメラルド色が穏やかな雰囲気だからか、写真だけで見たら暖かくてのどかな天気の中で見れるのだろうと予想したが、お釜はそうあまくなかった。天気が良いから綺麗に見れるだろうと期待して、ひたすら登ったら失敗するかも知れない。山の天気は変わりやすいからだ。私が行った日もふもとの天気は晴れだったが、頂上に行くにつれて急変した。気温が急激に下がって、真冬の格好をしていたのにすごい寒さで体がぶるぶる震えた。しかも、視野が確保できない位に霧が濃くなってきた。
それで、一旦諦めて下ることにした。登る時は歩いて登ったが、下る時には「おもひでぽろぽろ」にも出てた、あのリフトに乗って行った。安全レバーやベルトがなかったからか?かなりスリルがあった。
理由は分からないが、蔵王はジンギスカンでも有名らしいということで食べることにした。ジンギスカンは羊肉の料理の名前だ。羊肉は臭くて苦手な人が多いという話を聞いたことがあって、味にうるさい私にはどうかなと心配だった。でも、意外と特有のソースで臭いにおいはしなかったし、すごく柔らかかった。
さらにまた、蔵王は硫黄温泉でもよく知られていて、ふもとには温泉が集まっている「蔵王温泉街」がある。温泉が豊富なところだからか、無料の足湯が多い。歩いて疲れたら、足湯につかると良い。足湯で一休みしてから、空を見上げたら、何だか頂上も晴れている良い予感がして、リベンジしてみた。
再び登った蔵王の頂上には先の曇っていたところなのか?という疑問が湧くぐらいに、まったく違う景色だった。たしか目の前にあるはずだったのに霧で見えなかったお釜が綺麗に見えたのだ。わずか何時間前の曇っていた景色と今の景色、そのギャップに驚いたし、お釜が吐き出す壮麗さにまた驚いた。私がもっと高いところで眺めていたのに、まるでお釜が遥か高いところから私を見下ろしているような気がしたのは何でだろう。
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