金正垠
私は水原で生まれて水原で育った。それに祖父の家もソウルの近くなので、田舍とか田畑のある所はほとんど行ったことがない。だから田植をするということは想像もしていなかった。しかし今回山形で田植体験をする機会があった。今回を逃すといつ田植体験ができるだろうと思い挑戦してみた。
私は田植ができる田んぼならきっと遠くにあるだろうと思っていたが意外なことに私が住んでいるアパートから車で約 20分ぐらいの近くにあった。この日は小雨が降って心配したが、関係者は田植をする日に雨が降ることは良いしるしだと言った。
裸足で田んぼに入って、手で一つ一つ苗を植えなければならないので、私は泥がはねても良い楽な服を着てズボンは膝まで引き上げて万全の準備をした。田んぼに入るためにあぜ道に立って足を田んぼの底に伸ばした。にゅうっと入って行く感覚が初めて経験するとても微妙な感覚なので自然に悲鳴が出た。しかしここで重心を崩してしまえば大変だ。全神経を足に集中して一歩一歩踏み出して行った。田んぼのあちこちに苗の束が置かれていてそれを持って苗を植えていった。
いつの間にか田植に集中するようになって雨に降られていることは気にならなかった。30名ぐらいの人が一斉にとりかかったので早く田植を終えた。始めは足の感じが慣れなくて早く田んぼから出たい思いがあったが、田植が完了したら「もう終わっちゃったの」という思いもした。
今日植えた苗は9月頃に収穫をするという。そして収穫した米とこの地域の水で「柏倉門傳」という日本酒を作るという。今日の田植体験を主催したのは「西山形の酒を造る会」だった。
田植を終えて町内会館で今日のメンバーたちと交流会をした。交流会では「柏倉門傳」と簡単な食事の用意が調っていた。短い時間だったが田植をしたからかお腹が大変すいていたのでおいしく食事をすることができた。しかしここで一つの難関があった。交流会に参加したのは主に地域の年配の方が多かったので山形弁が強かった。山形弁の前で緊張したが皆優しい方々だったし顔にはみんなほほ笑みが一杯だった。
私は日本酒はあまり飲めないが、こんなに良い人たちと一緒の席だったからか本当においしく感じられた。この人たちが実際に育てて造った貴重なお酒を一緒に飲むことができるということは田植と同じぐらいの大事な経験だった。今回の田植体験で、ただ田植をするだけではなく、人々との情、特に山形の情を感じることができて良かった。
秋には稲刈り体験もできると聞いたので、もう秋が楽しみだ。
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